落ち着いて考える場所
thinking chair 、考える椅子です。これってなんでしょう?
これはカナダ🇨🇦の幼児教育の現場で使われていた言葉です。
私がカナダで幼児教育を学んでいた頃、一つ目の実習先が幼稚園でした。その幼稚園では、子ども同士が喧嘩した時、何か悪さをした時、興奮して怒りがおさまらない時など落ち着く必要がある時にthinking chairを使っていました。椅子の周りには玩具などは置かずに、みんなの姿は見えるけれど、静かな場所に椅子を設置します。
例えば、先生から何度注意されても聞かない時、友達に理不尽に暴力を振るった時など、何度か口頭で注意します。それでも問題行動を続ける時は「thinking chairで考えてきなさい」と言われます。子どもは素直に(笑)自らの足でthinking chairに向かいムスッとした顔で座ります。3分〜5分程度経って、先生が子どもに話をしに行きます。「何を考えた?」先生は子どもの話を聞き出していき、どんな理由だったのか、何がいけなかったのか、代わりにどういう行動をするべきだったのか、を子ども自身の口から話すようにしていきます。
time outというしつけ方法
カナダ🇨🇦ではtime out というしつけ方法があります。
これは子どもが問題ある行動をした時に、部屋の隅に座らせて静かに考えさせることです。これは大人も感情のまま怒ってしまうのを避けられるので、大人も子どもも一定の距離と時間をおいてクールダウン出来る効果的なしつけ方法です。
このtime outの方法は家庭によって少し異なります。部屋の隅だったり、椅子だったり、立たせられたりと。私の親戚はカナダ人女性と結婚していて、子どもが1人いました。その子どもは5歳くらいでしたが、わんぱくな子で、うちに遊びに来てもよく「time out」と言われて、壁に向かって立たせられていました。怒られている時は親子は英語でゴニョゴニョ話すので聞き取れませんでしたが、「time out」と言われた後に壁に向かって立ち、「OK」と言われるまで立っていたことは覚えています。その時は何をしているのかよく分からなかったのですが、後になってtime outをしていたのだと気付きました。
私の父は典型的な昭和の頑固親父なので、とても怖く、よく怒鳴っていました。この親戚の子どもを怒られなくて良いなぁと羨ましく思っていますが、ちゃんとカナダ流のやり方でしつけをされていたんですね。笑
このthinking chairにしろ、 time outにしろ、大切なことは大人と同じ空間内で行うことです。いつでも大人の目が届く場所で行います。暗くて狭い押し入れや誰もいない部屋に閉じ込めるようなことはやってはいけません。時間は長くても5分程度です。また低年齢児には行いません。3〜6歳ぐらいが目安です。
Go to your room!
先日紹介した絵本『WHERE THE WILD THINGS ARE かいじゅうたちの いるところ』『No, David! だめよ、デイビッド!』では、主人公がお母さんに「Go to your room!」と言われ、自分の部屋に向かう描写があります。これもtime outの一つで小学生ぐらいになると、部屋に独り送られるようになります。
小学生の男の子が2人いたホストファミリーでは、かわいい兄弟喧嘩が絶えなかったので、ホスト父が真っ赤な顔で「Go to your room!」と子どもたちを部屋に送り込んでいました。
しつけに関しては国の習慣、それぞれの家庭で考え方が異なると思いますが、このワンクッションおくという行為はとても効果的だと思います。ちょっと冷静になりたい時、その場を離れて落ち着かせる。感情的になっても良いこと一つもありませんもんね。こういう方法を知ってるだけでも、自分の頭に血が昇って爆発しそうな時のちょっとした心のお守りになります。
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