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絵本

地図、好きです。私は旅行に行くと必ずその地域の地図を買って、部屋に貼っていた時期があります。眺めているだけで楽しい!

今日紹介したい本はこれです。

How I Learned Geography』 作:ユリ・シュルヴィッツ

おとうさんのちず』 訳:さくま ゆみこ

戦火を逃れ、夏は暑く、冬はとても寒い東の国に逃げた僕たち。毎日食べるものがなくて、食べるものがなく、苦しい日々の中、僕のお父さんはパンの代わりに地図を買ってきて・・・。

この本の英語版は見つかりませんでした。Amazonでは買えるようです。英語もあまり難しくはないので英語で読むのも良いですね。内容は小学生中学年〜高学年向けです。もちろん、大人も読んでもらいたい本です!

この本の作者はユリ・シュルヴィッツさん。有名な絵本『よあけ』の作者でもあります。この本は彼の自伝絵本です。1935年、ポーランドに生まれた彼は、第二次世界大戦の戦火を逃れ、当時のソ連に家族で逃げます。

夏はとても暑く、冬はとても寒いその東の国では、知らない夫婦と一緒に住み、硬い土の上が寝床。おもちゃや本はなく、いつもひもじくお腹を空かせていました。

そんな時、市場にパンを買いに行ったお父さんがなかなか帰ってきません。心配して待っていると、なんとお父さんが買ってきたのはお腹を空かせて待っていた僕たちにパンではなく、地図

僕は怒ります。許せない!

次の日、お父さんが壁一面に買ってきた地図を貼ります。すると暗い部屋には色が溢れ、僕は魔法の世界に浸ります。砂漠に行ったり、雪山を登ったり、高層ビルの窓の数を数えたり。

面白い地名で韻を踏む詩も作ります。”フクオカ タカオカ オムスク”  ”フクヤマ ナガヤマ トムスク”と日本の地名も出てきます。

僕は果樹園でパパイヤやマンゴーを好きなだけ食べたり、木陰でゆっくり休むこともできました。

最後のページは、 ”ぼくは、パンをかわなかった おとうさんをゆるした。”とあります。

お父さんが買ってきた地図のおかげで魔法の世界に浸った僕は、その後絵本作家になります。

戦争体験や食べるものがなく飢餓を体験したことのない人にしか分からないものがあると思います。そんな極限状態の中で食糧ではなく、地図を買ってきたお父さん。きっと市場をぐるぐると歩き回って、考え抜いた末の決断だったのでしょうね。お父さんが息子に伝えたかったもの。ひしひしとズキズキと伝わってきます。

大人として、子どもたちに、戦争の悲惨さや愚かさは伝えていかなければならないと思っています。そして、その戦争が現実世界でずっとずっと繰り返し続いていることも。

私の父は戦前生まれで、いつもひもじかったこと、貧しかったこと、悔しかったこといつも話に聞いていました。そして父の姉のおばさんからは空襲にあった時の話など聞いていました。子ども向けの戦争の絵本も家に置いてある方だったと思います。

でも私は子どもに戦争の話をする時は、子どもの発達に応じて、話したり見せたりしてほしいなと思います。正直小さい頃の私には、物事を色々理解できる年齢の前に、さまざまなものを見聞きして刺激が強すぎました。強い不安感や得体の知れない恐怖感に襲われたり、夜も寝れなくなったことを覚えています。

その点、この本はそういう視点では戦争を描いていません。本に描かれている以上の辛い体験はきっとたくさんしたでしょう。けれどもこの本は、辛かった日々の中でお父さんが与えてくれた希望の光が描かれています。なので小学生のお子さんにも安心して読んであげられる本だと思っています。大人にも読んでほしい本です。ぜひ!

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