出会いと別れの季節

絵本

ありきたりな言葉ですが、一年のこの季節、毎年思います。

出会いと別れの季節です。

学校でも、会社でもこの年度の変わりはたくさんの別れを経験し、時には涙し、4月からの出会いに期待と不安に気持ちが入り混ざり、感情が大きく揺さぶられる季節です。

みなさんは友達はいますか?本当の友達はいますか?本当の友達はあなたにとってどんな友達ですか?

今日は大好きな日本の絵本を紹介したいと思います。

ともだちや』 作:内田 麟太郎 絵:降矢 なな

キツネはともだちやさんを始めることにします。「えー、ともだちやです。ともだちは いりませんか。」そんな中、お客さんになったのは・・・。

この本は全国学校図書館協議会選定・日本図書館協会選定にもなっていて、シリーズ化されていて「おれたち、ともだち!」の第一作目です。

年中〜小学校低学年の子どもには特に読んでもらいたい絵本!でも、大人も読んでみるといいかもしれません。ちょっと痛いところを突かれます。

この話は、友達屋さんになることを思いついたキツネ🦊の話です。森の中を「ともだち いちじかん ひゃくえん。にじかん にひゃくえん。」と幟を担ぎながら宣伝して歩きます。

そんな時、クマ🐻に呼ばれたキツネ🦊。一人の食事はつまらないと嘆くクマと一緒に食事をします。不味くて不味くてたまらないイチゴとハチミツを食べながら「美味しい美味しい」と媚びへつらうキツネ。最後に200円をもらったのに、キツネはお腹がシクシクと痛み、なぜか浮かない顔。

次に呼ばれたのは、オオカミ🐺。トランプを一緒にして、忖度なしの勝負は3勝1敗でオオカミ🐺の優勢。キツネ🦊は大切な幟を投げて悔しがっています。(あれ?キツネさん、お客さん相手に本気で勝負してない??)

最後にお代を請求するとオオカミ🐺は、本当の友達からお金を取るのかと怒り狂います。

「ほんとうのともだち?」とキツネ🦊はハッとします。初めから友達屋ではなくキツネ🦊と呼んだオオカミ🐺。明日も明後日も遊びに来ていいと言うオオカミ🐺

帰り道、キツネ🦊は「えー、ともだちはいりませんか。」と言いながら、スキップで帰っていきます。宣伝で変わったところは何時間でも無料になったところです。

本当の友達に出会えた時、心は満たされます

クマ🐻に対して美味しくないイチゴを美味しいと言ったキツネ🦊。オオカミ🐺に対して忖度なしでトランプを勝負したキツネ🦊。どちらも最初は友達屋として接していたはずですから、すでにオオカミ🐺とは気を使わずに、素の自分出せる居心地の良さはあったんでしょう。

友達って理屈抜きで気が合うって言うのがありますよね。もし、このキツネオオカミと一緒にイチゴを食べていたら、オオカミは「うまいだろ」って共感を強要するようなこともしないだろうし、キツネも「このいちごは酸っぱくて僕には食べられないよ。」って正直に言えていたかもしれません。

気の合う友達といるとあっという間に時間が過ぎるし、喋ることが尽きないし、逆に無言も苦じゃない。バカげた話も一緒に笑い転げ、真剣な話も一緒に悩んで話し合える。そして、本当に困った時そっと手を差し伸べてくれる

でもそうじゃない友達ってどっちかが無理してたり、どっちも無理してたり。でもどっちが悪いとか正しいとかっていう話じゃないと思っています。

私は「みんなで仲良くしましょう!」とかはあまり好きではありません。それに、現実的ではないと思います。やっぱり気の合う人もいれば、合わない人もいる、理屈抜きで。集団生活の中で沢山の人と関わり合いながら、他者を認識し、理解し、その過程の中で、心が満たされるような気の合う友達が一人や二人いれば十分ラッキーな方だと思います。

幼児教育では「人間関係」と言う領域があり、子どもの成長発達に欠かせないものの指針として掲げられています。私たち保育士は、日々の生活や活動の中で、子どもたちに対して働きかけたり、人間関係の発達を促すような環境を設定します。

4、5歳児ともなると、なんとなく仲良しグループが出来てきて、一緒に遊ぶ友達が固定されるようになってきます。気が合うから一緒にいるだけならいいのですが、時々義務感?安心感?だけの繋がりになっているような時があります。そんな時は、保育士がグループ決めをして活動をしたり、保育士が間に入って色々な友達と関われるような働きかけをします。

そんな時、意外な組み合わせで化学反応🧪が起きちゃう時があるんです!「あっ!この子達、今すごくいい顔してる!」と思う時があります。この絵本の中のキツネのように、表情は嘘をつきません。子ども達の表情がキラキラと輝いて、楽しそうしている瞬間瞬間があって、「あぁ、この子達はすごく気が合うんだな。」と感じる時があります。

これから沢山の出会いを経験する子どもたちに、本当の友達に巡り会えますように…✨

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