今日紹介したい本はとっっっても悪いヤツの話です。
『THE BAD SEED』 作:ジョリ・ジョン 絵:ピート・オズワルド
『わるいタネ きずだらけのオレがきめたこと』 訳:鈴木 沙織
「俺はわるいタネさ」「わるるるるるるるるいタネなのさ」と冒頭から怖い顔。主人公は態度も悪けりゃ、マナーも悪い!でもでも・・・?
絵本のあらすじ 〜そこには辛い過去があった・・・!〜
「オレは、わるいタネ、わるるるるるるるるいタネ。」悪いタネは自分のことをそう言う。
カートは戻さないし、遅刻はする、横入りもするし、手なんて一度だって洗ったことがない!ついでに足も!
なんでこんな悪いタネになったかというと、タネにはそうならざるを得なかった過去があった。
昔は家族みんな仲良く暮らしていたけれど、ひまわりの花が朽ち、タネたちはバラバラになって一家離散。
思い出すのは、あの袋の中の真っ黒な暗闇。それから、それから巨人が現れて、口の中に放り込まれて絶体絶命かと思ったらプーっと吐き出され、観客席に投げ出されてしまった。
幸い、ガムのかたまりの上に落下したので一命は取り留めたが、そこからタネの中で何かが変わってしまったのだ。それからわるるるるるるるるいタネ👿になったのだ。
それからは笑うのもやめ、誰とも友達になるのをやめ、空き缶の中で暮らした。それで良かったんだ、最近までは。
でもわるいタネは決めた、わるいタネにはもうなりたくない、幸せになりたい✨と。
だから少しずつ変わり始めた。
人の話を聞くのを忘れてしまう時もあるけれど、時々遅刻もしてしまうけれど、ありがとうも言うし、お願いしますも言う、笑顔で!
頑張っているんだ!とにかく、頑張り続けることが大切!
ひまわりの種のシュールな運命
この本はニューヨークタイムズのベストセラーの著者によって描かれたもので、絵本なのに短編映画のようなドラマチックさがあります。
最初読んでいて、なんでひまわりの種🌻が主人公なんだろう?と疑問でした。ですが、読んでみて納得です。ひまわりの種🌻は、スポーツ観戦、特に野球観戦には定番のおやつです。なのでひまわりの種🌻でしか描けないエピソードがあったのです!
以前ブログにも書きましたが、大リーガーの大谷翔平選手もアメリカに渡ったばかりの頃、このひまわりの種🌻の殻をご丁寧に紙コップの中に吐き捨てている行為が話題になったことがあります。アメリカ人はひまわりの種🌻を食べたら、そこら辺にプププーと吐き捨てます。
そしてこのタネの人格(種格?)が変わってしまったきっかけは、家族がバラバラになり、商品として出荷され、太っちょのおじさんに食べられそうになったところ吐き出されて、身も心もボロボロになったからでした。
すごく悲劇的にドラマチックに描かれているのですが、助かったきっかけはたまたまガムの上に着地したからなので、そのシュールさにプププと笑ってしまいます。
ただ、レッスンで子ども達に読む時はそんなことを悟られないように(つい吹き出してしまわないように)、神妙な顔つきで読むのが大変です💦
そして、わるるるるるるるるいタネ👿だと自分で言い切る割に、そんなにわるいヤツじゃなくてそれも可愛い。
- 落ちのない長いジョークを言ったり (long jokes with no punch lines)
- どうでもいい嘘を言ったり (lie about pointless stuff)
- 横入りしたり (cut in line)
- 図書館でドラムを演奏したり(ここでは絵のみで記述はありません)
根っからのワルじゃなかったんだなと言うのがよく伝わってきます。
そしてここら辺の表現は大人でも英語の勉強になりますね。お子さんの英語初心者のステージでは少し難しめの本。お子さんで英語学習が得意だったり、大人の英語学習としてもぜひ読んでみてください。楽しみながら読める絵本です!
コメント