snow

絵本

子どもの頃、朝起きて、窓から見た景色が辺り一面真っ白だった時の心の興奮、覚えている方はいますか?フワッフワのパウダースノーでまだ誰も足を踏み入れていない、あのキラキラの世界。そんな気持ちを思い起こさせてくれる本です。

The Snowy Day』 作・絵:エズラ・ジャック・キーツ

ゆきのひ』      訳:木島 始

大雪が降った日、ピーターは雪の中に大冒険に出掛けます。雪の上の色々な足跡を楽しんだり、雪山を滑り降りたり。そして大切な大切な雪を家に持ち帰ります。するとその雪は・・・

シンプル淡々と物語が流れていくような本です。特にクライマックスもなく、オチもなく。でも、誰もが子どもの頃に試した、あんなことやこんなこと、雪への愛情が溢れている本で、何度もページをめくりたくなります。

雪に残る足跡、面白いですよね。ピーターはpointing out, pointing inとつま先の向きを変えて足跡を楽しみます。それに飽きたらズズズーと足を引きずって歩いて、長いわだちを作ります。それ、やったやった!

でも、楽しいだけじゃありません。大きい子どもたちに混ざった雪合戦では、到底敵わず意気消沈します。

そんなピーターは、自分を慰めるようにニッコニコの雪だるまを作ったり、スノーエンジェルを作ったり。snow angel とは子どもが好きな雪遊びのうちの一つです。(いや!大人も絶対やるヤツです笑)私は子どもの頃に遊んだ記憶はなく、カナダ🇨🇦に行ってから知ったのですが、今の子は知っているのでしょうか?新雪の上に大の字になって寝転び、腕と足を上下に動かします。その跡が天使のようになるのでsnow angelと言います。これぞ、誰も踏み入れていない雪の上でしか出来ない醍醐味のある遊びです。

この本がすごいのがほとんどのページがピーターの表情をガッツリと描いている訳ではありません。顔は目の表情ぐらいしかないのに、ピーターの嬉しさや悲しさが、もうまるで雪のマジックに取り憑かれている感じがすごく伝わってきます。

そしてそんな可愛いピーターも鉄板のやらかしをします。絶対、雪を家の中に持ち帰って親に怒られた人いますよね!? ピーターと私だけじゃないですよね!? あんなフワッフワな素敵なものなくなるはずなんてない!え?ない?どこいったの?なんかビッショビッショに濡れてるし、なんだか分からないけど、親はすごく怒ってるしワケワカラナイーーー!!どこいった?あのフワフワーーー!!

もう一つ、この本の特筆すべきは初版が1962年で翌年にコールデコット賞(アメリカで児童書に贈られる賞)を受賞してます。作者のエズラ・ジャック・キーツさんは、ポーランド系ユダヤ人移民の子どもとしてNYで生まれました。いわゆる白人です。でもこの本の主人公、ピーターは黒人の男の子です。1962年に黒人の主人公で絵本を作るのいうのは先駆け的存在だったと言えると思います。

アメリカ🇺🇸の人種問題については根深く、私は勉強不足なので、ここで軽々しく口に出来ることではありません。ましてや、外国人でアメリカに住んだことのない私が。。。だけど最近になって日本でもディズニー映画の人種問題とかのニュースや話題を目にすることはないですか?最近になって、です。なので60年前にこのような絵本を作った彼はやっぱりすごいと思うのです。

そして40年前に亡くなったエズラ・ジャック・キーツさんは今生きているとしたら、今のアメリカ🇺🇸をどのように捉えるのでしょうか。この本は彼の魂が注がれた一冊だと感じる本です。

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