【英語絵本レビュー】The Dot|「点を描いて」と言った先生の言葉が、一人の少女を変えた

絵本

絵を描くことが怖くなってしまった経験、ありませんか?

「うまく描けない」「どうせ下手だから」と、白い紙の前で鉛筆が止まってしまうあの感覚。

今回ご紹介する英語絵本『The Dot』は、
そんなすべての子ども——いや、大人にも——刺さる一冊です。

私がこども英語教室を開いていて、
一番大切にしたい「先生の在り方」を教えてくれた絵本でもあります。

あらすじ|絵を描けないと思っていた女の子・Vashtiの物語

主人公はVashti(ヴァシュティ)という女の子🎨。
美術の授業が終わっても、彼女の画用紙は真っ白なまま。

「私には絵が描けない」

そう思っていたVashtiに、先生はこう言います。

“Just make a mark and see where it takes you.”
(とにかく一つ、印をつけてみて。そこからどこへ向かうか見てみましょう。)

Vashtiは怒りと半信半疑のまま、ぐりっと一つの点🔴を紙に描きます。

すると先生は「サインを書いて」と言い、その点の絵に額縁をつけて飾ったのです。

それから何かが変わりました。Vashtiは点を描き始めます。大きな点、小さな点、カラフルな点⭕🟡🟢……。気づけば、展覧会で自分の絵を飾るまでになっていました。

そしてラストシーン——展覧会で「僕には絵が描けない」と言う男の子に、Vashtiはあの日の先生と同じ言葉をかけるのです。

私がこの絵本を特別に思う理由

正直に言います。
この絵本を初めて図書館で読んだとき、号泣してしまいました。

私がこども英語教室を開いていて、ずっと目指している「先生の在り方」がここにいたからです。

Vashtiが画用紙に描いた最初の点。それは「うまい絵」でも「すごい作品」でもありません。
怒りまかせに描いた、ただの点です。

でも先生は否定しなかった。バカにしなかった。

額縁に入れて、壁に飾った。

私はレッスンの中でいつも、子どもたちの「できた!」の瞬間をそういう目で見ていたいと思っています。上手かどうかじゃなく、やってみたという事実を、全力で肯定したい。

この絵本は、先生という存在の本質を静かに、でも力強く教えてくれます。

この絵本が生まれた理由

絵本の最後のページをめくると、静かな献辞が目に入ります。

“Dedicated to Mr. Matson, my 7th grade math teacher”

この一行を読んだとき、作者がかつて素敵な先生に出会ったのではないかと想像せずにはいられませんでした。もしかしたら、Vashtiの先生のような存在が、作者の人生にも実際にいたのかもしれない
——そう思うだけで、この絵本がさらに温かく感じられます。

一人の先生が、一人の子どもの人生を変える。

そしてその子どもが大人になり、今度は世界中の子どもたちへ同じメッセージを届けている
——この絵本はそういう連鎖の物語でもあります。

私自身も、こども英語教室の先生として、いつかの誰かにとってのMr. Matsonでありたいと思っています。上手か下手かではなく、やってみたという一歩を、全力で肯定できる先生に。

この絵本は、大人に読んでほしい

『The Dot』は、子ども向けの絵本です。でも私は声を大にして言いたいのです。

この本は、大人こそ読むべき一冊です。

子育ての中で、こんな場面はありませんか?

  • 「うちの子、全然できなくて…」と不安になる
  • つい「こうしなさい」「なんでできないの」と言ってしまう
  • わが子の「できた!」を、素直に喜んであげられない日がある

そんなとき、この絵本をそっと開いてみてください。

Vashtiの先生は、怒りまかせに描いたただの点を——額縁に入れて、壁に飾りました。

評価しなかった。比べなかった。ただ、肯定した。

子どもの自己肯定感は、外から与えてもらうものです。
最初の「いいね」は、いつも身近な大人から始まります。

育児に迷ったとき、疲れたとき、どう関わればいいか分からなくなったとき
——この絵本はきっと、静かな気づきをくれます。

お子さんが寝た後、一人でゆっくり読んでみてください🌙

作者・作品情報

タイトルThe Dot
作者Peter H. Reynolds(ピーター・レイノルズ)
出版社Candlewick Press
対象年齢4歳〜(読み聞かせは2歳〜でも◎)

Peter H. Reynoldsは『Ish』『Sky Color』など、創造性と自己表現をテーマにした絵本を多く手がけています。シリーズで揃えるのもおすすめです📚

まとめ

『The Dot』は、子どもの自己肯定感と創造力を育てる絵本です。

でもそれ以上に、大人が読むべき絵本だと私は思っています。

子どもに関わるすべての人へ——親御さんへ、先生へ。

「どうせ描けない」と思っている子の隣で、静かに「やってみて」と言える大人でいたい。

この絵本は、そのことを思い出させてくれます。

“Just make a mark and see where it takes you.”

ぜひ親子で読んでみてください🌟

こんな方におすすめ

  • 子どもの自信をつけてあげたい
  • 子育てに迷ったとき、自分自身のために読みたい
  • 読み聞かせに使いやすい英語絵本を探している
  • Peter H. Reynoldsの絵本が好き

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