子どもに読んであげたいNo.1の絵本はこれです。
『No, David!』 By David Shannon
『だめよ、デイビッド!』 訳 小川仁央
園でこの絵本を子ども達に読んであげるとお腹を抱えて「ゲラゲラ」言って笑い転げます。子ども達に何度も何度も読まれてボロボロになり、何度も本をテープで補修をしました。
この話は、やんちゃなデイビッドが家の中でいたずら三昧!文は少しだけで、大きくダイナミックな絵はデイビッドのやんちゃぶりをダイレクトに子ども達に伝えてくれます。そのデイビッドの表情は何とも真剣で生き生きと楽しそうなこと!
この話は作者の実話が基になった本です。あとがきとして作者からのメッセージの欄にこんなことが書いてありました。お母さんから『No, David!』と言う作者が小さい頃に描いた絵本が送られてきたそうです。そこには文字は「No」と「David」しか書かれていなかったそうです。当時の作者はそのスペルだけ書けたからだそう。その本をずっと大事にとっていたお母さん、素敵ですね。きっと作者は「No, David!」と沢山怒られてきたけど、最後は沢山ぎゅーっとハグされてきたのでしょうね。
絵本の中では、お母さんは「だめよ!だめ!」と再三注意をしています。私だったら「こらぁ〜!👹」と鬼化していることでしょう。もう怒りたくないのに、なんでこんなことばっかりするの・・・?と。大人からすると、こんな本読ませていいの?真似しない?と思ってしまいそうですが、大丈夫です!真似しません!子ども達が目をキラキラさせてこの本に食い入るように見ている姿を観察していると、子ども達はきっとこんな気持ちで楽しんでいるのかなと思います。
- 生き生きと本気で遊びを楽しんでいるデイビッドへの共感
- あんなことこんなこと、しちゃいけないのは分かってるからこそ、デイビッドが大胆にやってのけることへの羨ましさや憧れ
- 「もぅ〜、デイビッドったら〜!」という少しお兄さん、お姉さんになった気持ち
そしてもう一つ、教育者という立場から絵本選びついて、気付きをくれた本でもあります。良質な本とは、子どもを色々な世界やファンタジーに連れて行ってくれて、沢山のワクワクやドキドキを共感できるようなもの、あるいはイライラやぐちゃぐちゃした気持ちにそっと寄り添ってくれるようなもの、ノンフィクションの世界を冒険したような気持ちで楽しめるようなもの、色々な本があっていいのだと思います。
私は、立場上「こんな風に育ってほしい」という願いから、思いやりや優しさを描いた道徳的な本ばかりを選んでいた時期がありました。でもそれはおこがましいことだと気付きました。子ども達にとっては窮屈だっただろうなと思います。”良い子”を求められるのは結構苦しいものですよね。他者への思いやりや優しさは実体験でしか経験出来ません。子どもは周りの人や友達との関わりを通して、仲良くしたり、喧嘩をしながら色々な思いを経験し、他者を認識し成長していきます。
なので、この絵本を読む時は「デイビッドだめだよね〜?」なんて野暮な事は言わずに、「がっはっはっは!」と子ども達と大笑いしながら、楽しんで読んでいます!!!
人気のある本はシリーズ化にされることが多く、このデイビッド君も沢山の本が出ています。またクラスで読む用の教職員向けのビッグブックにもなっています。ぜひ、お子さんと一緒に読んで大笑いしてください!
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