その怒りのゆくえ

絵本

怒りがメラメラと腹の底から湧き上がる時、あなたはどうしますか?

そんな時、読んでほしい本です。

When Sophie Gets Angry- Really, Really, Angry…』 作:モリー・バング

ソフィーはとってもおこったの!』 訳:おがわ ひとみ

ソフィーはおもちゃを妹に取られてしまい、その拍子に転んでしまいます。ソフィーは怒った!さらに怒った!怒って、怒って・・・?

怒ったソフィーの絵本のあらすじ

この本はアメリカの児童書の賞コールデコット賞🏅を受賞している絵本です。納得です!読み終えるとなんとも清々しい気持ちになります。

主人公のソフィー👧🏻はゴリラのぬいぐるみを妹に取られてしまった。お母さんまで妹の味方をして、その上、その拍子におもちゃのトラックの上に転んでしまう。なんてこった!なんで嫌なことってこうも重なってしまうのだろう・・・!三重苦!

ソフィー👧🏻は怒った!とってもとっても怒った!蹴って、叫んで吠えた!赤い赤い怒りに満ちた唸り声をあげて。火山のように爆発しそう!

ソフィー👧🏻家を飛び出すと、走った!森の中を走って、走って、もう走れなくなるまで走った。

そして、少し泣いた。

海辺の大きな木までくると、木に登りずっと海や波を見続けた。風が心地良かった。

もう気持ちは落ち着いていた。家に戻るとあったかくていい匂いがした。ソフィー👧🏻はもう怒ってはいなかった。

世の中は理不尽だらけ!でも「自分の機嫌は自分で取る」

この本はちょっと理不尽です。読者側から見ても、ソフィー👧🏻が可哀想。妹も「貸して」ぐらい言ったらいいのに。お母さんだってもっとソフィー👧🏻の言い分を聞いてくれたっていいのに。

その上、自分が使っていたおもちゃのトラックに引っかかって転んじゃうなんて。こういう時って、悔しい気持ち、惨めな気持ち、怒り、いろんな気持ちがあいまってすごーーく、痛いんですよね。心の痛みも一緒に加わっちゃって。

2ページに渡る、ソフィー👧🏻の怒りの顔はかなり怖いです。この絵本の表紙になっています。

理不尽だからこそ、読者も分かるよ、分かるよ、とソフィー👧🏻の気持ちに、怒りに共感します。

家を飛び出して森の中を走って走って走れなくなった後は、泣きます。分かる、分かる、怒りの後は悲しさが込み上げてくるよね。そこには、ソフィー👧🏻を心配したように、森の小さな動物たち🦜🐿️🦉がいて、ソフィー👧🏻を優しく受け入れてくれます。鳥が鳴いていたり、綺麗なお花が咲いていたり。

辿り着いた海辺にある大きな木に登り、ソフィー👧🏻は海を見続けるページは、海の雄大さや波の音までこちらに聞こえてくるようです。そして静かで穏やかな空間が流れます。ソフィー👧🏻の気持ちは海と同化していくように落ち着いていきます。

帰り道、ソフィー👧🏻は笑顔です。ちゃんと「I’m home!」と言って家に入ります。全ては元通り。

妹が謝ったり、「どこ行ってたの?心配したでしょう?」なんてお母さんたちに怒られることもなく、ただただ、温かく出迎えてもらいます。

読んだ後、「自分の機嫌は自分でとる」ことの大切さに気付かされました。

ここで、この姉妹の喧嘩を話し合っても、「妹が貸してって言わなかった」「ソフィーがずっとゴリラを一人占めにしていた」と互いの主張が平行線で泥試合になっていたでしょう。

日々の生活の中にはこんな感じのことが沢山起こりますよね。怒りをグッと我慢しないで、その時にちゃんと表現する。だけど相手に改善や謝罪を求めるのではなく、最後はこんな風に自分の機嫌は自分で取って折り合いをつけていくって意外と難しいことだなと思うのです。

怒りを我慢してしまって、表面を取り繕ってヘラヘラと笑顔を作ってしまったのに、怒りだけは内側で沸々と引きずってしまってなかなか消化できないなんて事ありませんか?

ソフィー👧🏻は海辺にあるこの大きな大木がお気に入りの場所のようです。きっといろんな気持ちを受け止めてくれるのでしょうね。隆々と描かれた大木はとても頼もしい雰囲気です。

皆さんは「自分の機嫌は自分でとる」時、どうやっていますか?お気に入りの場所やものはありますか?

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