お彼岸です

今年の春のお彼岸は１８日から２４日。

私は都合がつかずにお墓参りは行けなかったので、家族に託しました。

３月は私の尊敬する祖母が１００歳目前で亡くなったり、生前とてもお世話になった私の友達のお母さんが亡くなった月でもあるので、一年で一番亡くなった方に思いを馳せる月でもあります。

そして、この時期必ず食べるのがおはぎです。春のおはぎは本来はこし餡で作るぼた餅というそうですが、私は一年中おはぎと言っています。

私の住んでいる仙台には「さいち」という大人気のおはぎを作るスーパーがあります。秋保温泉♨️という仙台の中心部から３０分ぐらいのところにある温泉地にあるスーパーで、そんなに大きくないお店ですが、そこのおはぎが全国的にも有名になり、大行列ができます。

仙台駅の駅ビルでも曜日限定で購入できますが、すぐ売り切れてしまいます。あんこがたっぷりのさいちのおはぎは私の周りでも大ファンの人が多いです。

そんな私は母のおはぎが大好きです。母は、お彼岸やお盆の時期には必ずおはぎを手作りします。そんな母に毎回リクエストするのは「ハゲハゲおはぎにしてね！」です。まさにあんこたっぷりのさいちのおはぎとは逆で、あんこ少なめのごはんが見え隠れしているぐらいのおはぎが大好きなのです。でも市販のおはぎはそんなことしたらきっと苦情が来るだろうから、手作りでしか味わえない黄金比率のおはぎなのです。

でも自分で作るには手間もかかるし、ちょっと面倒臭い。そんな私も一回だけおはぎを手作りしたことがあります。しかもカナダ🇨🇦で！

それまでは特におはぎを好きという自覚はありませんでした。お盆やお彼岸の時に、親戚で集まりお墓参りに行っておはぎを食べる、そんな感じでした。

ところがカナダに行って、生活も慣れた頃、なぜか突然「おはぎが食べたい！絶対食べたい！」っていう感情がむくむくと湧き上がってきました。もちろんどこにも売っていないし、作るしかありません。

早速、スーパーに食材探しにいきました。カナダは豆の種類が多いので、小豆に似ている赤くて小さい豆はすぐ見つけました。問題は餅米。どこを探しても見当たらない。まぁ、そうだよな、と思いつつ、日本米に一番近いカルフォルニア米を買って帰りました。

当時はインターネット📡はそこまで普及していなく、今のようにすぐ調べるようなことはできませんでした。母に作り方を聞こうにも時差もあるし、Eメール📩を送っても返事が帰ってくるのはおそらく１０時間後ぐらい。食べた記憶を頼りに作ってみました。

あんこはsmall red beansと書かれた袋に入っている豆にお水とありったけの砂糖を入れて柔らかくなるまで煮ました。それでも甘さが足りなかったので、寮のルームメイトから砂糖をもらって追加しました。

ご飯は餅米が手に入らなかったので、多めのお水とコンスターチを入れて炊きました。これでちょっと餅米感が出てほしいなと期待を込めて・・・！片栗粉はカナダでは手に入りづらいので、日本食を作る時に、とろみをつけたい時などはコンスターチで代用していました。

炊き上がったご飯をみて、うんうん、意外にいい感じだ！問題はこれをどう半殺しにするか。麺棒はないし・・・。あっ！と思いついたアイディアが包丁の柄🔪！刃の部分をタオルでぐるぐる巻きにして怪我をしないよう細工してから、包丁の柄でご飯を潰して半殺し状態にしました。ちなみに半殺しとはギョッとする言葉ですが、ちゃんと料理用語です！笑　ご飯を潰し切らず、つぶつぶを残した状態のことですね。

できたおはぎは上出来でした！ご飯のもちもち感も出ていたし、あんこもそれなりにあんこっぽい！そして異国の地で食べる日本の味は体にも心にも染み渡りました。なんだか涙が出そうなくらい美味しく感じました。

海外生活をしていると、日本ではなんてなかった食べ物を無性に食べたくなる時があります。梅干しや納豆など特別好物でもなかったものが食べたくなる現象はありましたが、おはぎを無性に食べたくなった時は自分でもびっくりしました。

習慣とは体に刻み込まれていくんですね。そしてこの刻み込まれた習慣は、離れてみないと分からないこと、感じないことが沢山あります。

私はカナダに残るか、日本に帰るか選択を迷いました。カナダは災害も少なく、人もフレンドリーで移民も暮らしやすい、資格も取ったし仕事に困ることはなさそうでした。

だけど、日本に帰ろう！と決め手の一つなったのは季節折々で楽しむ日本の食文化です。お彼岸やお盆にはお墓参りをしておはぎを食べる、春先にはふきのとうや菜の花のほろ苦い野菜を楽しむ、タラの芽やコシアブラの天ぷらを堪能する、宮城県産のホヤや牡蠣は唸るほど美味しい。秋はすだちやかぼすを絞って秋刀魚を食べる。栗ご飯も欠かせませんね！新米も美味しいし、山形県に新蕎麦を食べにいくのもいいな！冬は白子が美味しい！お鍋に入れても、お味噌汁に入れても！