7月になりましたね!皆さんは短冊にお願いごとは書きましたか🎋
今日紹介したい本はこちら!
『おこだでませんように』作:くすのき しげのり 絵:石井聖岳
ぼくはいつもおこられる。いえでもがっこうでもおこられる。
絵本のあらすじ
僕はいつも怒られる。
家でも学校でも怒られる。
妹と遊んでやっても、僕の折り紙が下手だって妹が泣いて、お母ちゃんに怒られる。
カマキリ取って見せてあげたのに、給食大盛りにしてあげたのに、先生に怒られる。
マー君とター君が僕の心にパンチしてきたから、パンチとキックで返したら僕だけ先生に怒られる。
僕は学校で七夕の短冊にお願いごとを一生懸命考えた。一番のお願いを考えた。
小学校で習ったばかりのひらがなを一つずつ心を込めて書いた。
「おこだでませんように」
なんだろう、この気持ち、この感情。涙が出てくる。
私はこの絵本が大好きです!でも、何度読んでも涙が出てきます。どんな涙か自分でもよく分かりません。僕の立場なのか?先生やお母ちゃんの大人の立場からなのか?とにかく、なんとも説明しようがない感情が湧き上がってくるのです。
この本はずっとずっと子どもたちに読みたくて、本棚にしたためていました。7月の七夕🎋も近くなってきた頃、年長の担任をしていた時にやっと読める機会がありました。最大の課題は「泣かずに読むこと!」声が震えてしまい、目に涙はいっぱい溜まっていたけれど、涙が落ちるのだけはなんとか阻止しました。
この主人公の僕は怒られてばかりです。
理由を話すともっと怒られるに決まっているから、僕は黙ったまま横を向きます。唇をぎゅっと噛んで、涙をいっぱい溜めて。僕の悔しい気持ちが力強い絵から伝わってきます。
僕は短冊のお願いごとを一生懸命考えたのと、ひらがなを一つずつ心を込めて書いたので、授業内では終わらず、休み時間までかかってしまったようです。「おこだでませんように」と書いた短冊は「られ」が「だで」になっているし、「ま」も鏡文字になっています。でもその文字から僕の切実な願いが伝わってきます。
その短冊を見て、担任の先生は僕の気持ちにちゃんと気付いてくれました。そしてお母ちゃんにも話してくれました。
本のあとがきに作者のくすのき しげのりさんが次のような言葉を残しています。
どうか、私たち大人こそが、とらわれない素直なまなざしをもち、子どもたちの心の中にある祈りのような思いに気づくことができますように。
『おこだてませんように』より引用
私はいつも英語の本を紹介することが多いですが、この本の絵のタッチがなんとも日本っぽいというか、外国の絵本にはあまりない雰囲気です。絵の中に日本の懐かしさを感じます。
そして、文字以外に絵本の中で描かれているものが、様々なことを背景として知ることが出来ます。例えば、妹に泣かれた折り紙の場面では、『やさしいおりがみ』という本が僕のそばにあります。きっと本を見ながら妹のために一生懸命折ったんだなぁと言うことが分かります。
お母ちゃんに妹と一緒にだっこされている場面では、三人の短冊が飾ってあります。それにはもう「おこだでませんように」とは書かれていません。背景にはきっとこんな優しい時間やあったかい時間があったのかなと想像して読める本です。
ちなみに短冊といえば、こども園では毎年笹の葉に短冊を飾ります。私はそれを見るのが好きなのですが、ある時「おなかいっぱいたべられますように」というお願いごとを発見!その子は好き嫌いもなく、いつも給食をおかわりして綺麗に食べる子。かわいいなぁ〜と思っていたら、その子のお母さんが「なんか、うちでご飯与えてないみたいな書き方で恥ずかしい〜!!」と言っていました。笑
そうか!日頃のその子や保護者の様子を知らないと、子どもの切実な願い!として第三者にそう捉えられる可能性もありますね…。大丈夫です!そうじゃないのは分かっていますから!
今年の七夕🎋、願いごとはもう決まりましたか? 願いごと、叶いますように・・・✨
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