大好きだった本
小さい頃夢中になって読んだ本はありますか?
私はいわむらかずおさんの『14ひきの』シリーズです。超ロングセラーです。私が子ども頃に唯一集めていた絵本が今も大人気で本屋さんに並んでいるのを見ると、子どもの頃ワクワクしながらページをめくったあの気持ちが蘇ります。
『14ひきの』シリーズ 作:いわむらかずお
家族の日常
上記は特に好きだったお話です。この本は床に寝そべって、本を顔に近づけ、ただひたすらに絵を見ていた記憶があります。ただただ、その世界に惹き込まれていたんですね。
大人になってから気付いたことがあります。この本は文が少ないのです。それも一番下に白いスペースがあって、そこに少し書いてあります。絵の上には文字を載せていません。
文もまたいいんです。あれこれ言わないのです。「おねぼうさんは だれ?」と優しくそっと語りかける口調です。絵本の場面を少しだけ伝えてくれます。
見開きのページの絵にはこの家族の日常が描かれています。そこには小さい兄弟を優しく世話する様子やせっせせっせと家の仕事をこなす様子が繊細で優しいタッチの絵で丁寧に描かれています。
テレビドラマで誰かが主役で物語が進んでいくのではなく、ドキュメンタリー番組のようにそっと隅から観察している感じです。
10年以上前に、いわむらかずおさんがどうやって絵を描くかテレビの番組で観たことがあります。顔を地面に近づけてルーペを持って自然の中を観察していました。こうやって動植物と同じ目線になって自然の中に入り込むからこそ、私たち読者をこんな世界に連れて行ってくれるですね。
原風景となる絵本
私はこの家族の家の中がすごく好きでした。木の根っこの中にあるのですが、ログハウスのように枝を組み合わせたような床があって、台所は14匹の胃袋を満たす大きなかまどがあって、ほっこりとあったかい家なんです。
一方、14匹が外に出ると、動植物は等身大です。原っぱは彼らよりも背丈が高くて、彼らの目線の上には、てんとう虫や大きなカブト虫がいたりします。人間には小さくて可愛い花が彼らの帽子になったりします。この大きな葉っぱは傘になるのかな?石ころはおもちゃになるのかな?きっとこんな世界が広がっているんだなぁとどこまでも想像をしたものでした。
小さい頃に夢中になって読んだ『14ひきの』シリーズは私の原風景となっています。
カナダ人にも伝わるこの絵本の繊細さと温かさ
私がカナダ🇨🇦の幼児教育を学んでいる時に、好きな絵本を紹介する課題がありました。私は迷わず、この本に決めました。日本の家族に小さい頃読んだこの本をわざわざ郵送してもらいました。
この繊細さと温かさは言語抜きに通じるものがあると自信を持っていました。学校に持って行くと、クラスメイト達は手にとってこの本を見入っていました。「Wow. Beautiful.」と言ってこの絵本に魅了されていました。
実際、『14ひきの』シリーズは10ヶ国以上の言語に翻訳・出版されています。世界中の子どもたちがこの絵本に惹き込まれていくのですね。
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