学び・発見・美しさがぎゅっと詰まった作品
黒い背景に七色のネズミたちが浮かぶ 『Seven Blind Mice 』は、ページをめくるたびに発見がある知的で美しい絵本。色や曜日を学びながら、部分だけでなく全体を見る大切さに気づき、子どもも大人も「なるほど!」と思わず声に出したくなる物語です。
📖Book Info
- タイトル:Seven Blind Mice
- 作者:Ed Young
- 出版社:Puffin Books
- ページ数:40ページ
- 対象年齢:6-12歳
- 英語の難易度:★★★
絵本のあらすじ
ある日、7匹の目の見えないネズミは、池のそばで何か不思議なものを見つけました。
「これは何だ!?」びっくりして一目散に逃げ帰りました。
月曜日、赤いネズミが最初に調べにいきました。
「あれは柱だよ。」
でも誰も信じてくれません。
火曜日、緑のネズミがいきました。
「あれはヘビだよ。」と言いました。
それから、それから…?
おすすめポイント3つ!
この絵本はインド発祥の有名な寓話で「盲人と象の話(The Blind Men and the Elephant)」をもとに作られた物語です。そしてこの寓話は世界中に語り継がれています。
この作品はこの作品は 1993年コールデコット・オナー賞を受賞しました🏆
受賞するのも頷けるほど、アート、ストーリー性、大人でもぜひ持っておきたい素敵な一冊のおすすめポイントをお伝えします。
①一部分だけでなく、全体を見てこそ真実がわかる!
7匹の目の見えないネズミたちは、ゾウの一部に触れて「これは柱だ!」「ヘビだ!」と主張します。しかし、どれも一部分だけの理解に過ぎず、意見は食い違うばかり。
ところが、最後に登場する白いネズミだけが全身をくまなく調べ、ようやくそれがゾウであると突き止めます。
この物語は、部分だけでなく全体を見て理解する大切さを教えてくれます。
②色彩とコラージュの魔法
真っ黒な背景に、七色のネズミがくっきりと浮かび上がります。目の見えない彼らの“目”は白や銀の紙で表現され、光の当たり方で微妙に表情が変わるのが印象的。
ゾウのからだは貼り重ねた紙の凹凸で質感が生まれ、重たさや温度まで想像させます。ときにヘビのうろこを思わせる染め紙がアクセントとなり、ページをめくるたびにリズムが生まれる。切り絵とコラージュの大胆な構図と余白が、物語の「見える/見えない」というテーマを視覚的にも鮮やかに浮かび上がらせる一冊です。
③読みながら学べる知的絵本
① 色の学び
7色のネズミが登場するので、子どもたちと一緒に英語で色を確認しながら読み進めることができます。
② 曜日の学び
ネズミは曜日ごとに1匹ずつ調べに行くため、次は何曜日か子どもたちに聞きながら読み進めます。
③ 深いメッセージ
この絵本では、最初はゾウの全体像が描かれていません。子どもたちもページをめくるごとにゾウの一部しか見ることができず、最後にようやくゾウの姿が見えて「ゾウだったのか!」と気づきます。
- 「ものごとは一部だけ見て判断してはいけない」
- 「みんな違う見方をするけれど、組み合わせると真実に近づける」
👉 子どもだけでなく、大人にとっても学びと気づきの多い絵本です。
レッスン中の子どもたちの姿
こちらの絵本は新品では手に入らなかったため、中古で購入しました。
すると、ページごとに子どもの字で和訳が書かれていました!
おそらく、自分で調べたり考えたりして一生懸命書いたのでしょう。
今回は、英文を読んだ後に、子どもたちと一緒に訳も確認しながら読み進めました。
まず、タイトルにある “blind” は「目が見えない」という意味であることを伝えてから読み聞かせを開始。
読み聞かせの途中、子どもたちはじっと耳を傾けて聞いています。
終盤になると、「あっ!ゾウじゃない?」「Elephant!」と声が飛び交い、驚きと喜びの表情が広がりました。
最後のページの 『ネズミの教え』 を読み終えると、自然と拍手が湧き起こり、子どもたちの満足そうな笑顔が印象的でした。
まとめ
Seven Blind Mice は、色や曜日を学びながら、部分と全体を見る大切さに気づける、親子で楽しめる知的で美しい絵本です。
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