Paperboyとは新聞配達少年のことです。
今日紹介したい本はこの本です!
『The Paperboy』 作・絵:Dav Pilkey
この本は、朝の静寂さ、ツンとした空気を感じられる、静かな静かな絵本です。
新聞配達をする少年とその相棒の犬の朝の一コマを切り取った絵本です。絵本の中では、その少年のことをthe paperboyと呼び、犬のこともthe dogと呼んでいます。2人の名前は分からず、文章はナレーターのように第三者目線で淡々と事実を書いています。
まだ暗いうちにその少年と犬は起きて準備をします。両親と妹が寝ている部屋の前をそっと通り、下に降りていきます。2人はそれぞれのボウルで朝ごはんを食べます。少年はシリアル。犬はドッグフード。
ガレージで配達する新聞を輪ゴムで留めていきます。犬もちゃんと袋を口で咥えて手伝います。
さあ、自転車に乗って出発です!重い新聞が沢山入っている袋をぶら下げての自転車も慣れたもの。
寝静まった町の中を少年と犬は新聞配達をしてまわります。少年はどこの家に配るか覚えていて、ルート通りに体が勝手に動きます。一方で犬も、どこで水飲み休憩をするか、どこの木がお気に入りか、どこに猫がいるか覚えています。
最後の新聞を配り終えると、2人は家まで競争します。
家に着くと、起き始めた家族の部屋のドアを通って、自分の部屋に戻り、まだ温もりが残っているベッドに潜り込んで眠りにつきます。
この本の中で好きな文章があります。
Instead, he is thinking about other things.
Big Things.
And small things.
And sometimes he is thinking about
nothing at all.
代わりに、少年はいろんなことを考える。
おっきなこと。
小さなこと。
時々、全く何も考えない。
無心になっている様子が伝わってきてすごく好きです。そしてこのページの後に、「少年と犬以外の世界が眠っている。その時が彼らが一番幸せを感じる。」と続きます。
この少年と犬はまさに相棒、buddy(バディ)です。絵本の中で2人が交わす会話はありませんが、言葉なくとも協力しながら新聞配達の仕事をこなしていく様子がとてもあったかいのです。
少年と犬の日常を覗き込んでいるような絵本で、子どもにとったら少々地味かもしれません。しかし、この静寂さや少年と犬の絆が伝わったらいいなと思います。実際お子さんに読むには、Bedtime Storyとして寝る前が良いと思います。
絵がとても柔らかくて素敵です。静寂さを感じる絵で、夜明け前の暗くて寒い感じが伝わってくるし、朝焼けの空はとても綺麗です。世界が寝静まっている頃に彼らは新聞配達をして、世界が起き出してくる頃に彼らは眠りにつく。そんなコントラストと共に、バディと連携しながら終えた仕事の安堵感が伝わってきます。
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