The Mitten

絵本

この季節になると、雪道に落ちている手袋がちらほら。あっ!ガサゴソ、ガサゴソ!動いた!中を覗いてみると、、、そこには可愛い動物たちがぬくぬくあったまっているかもしれませんよ!

今日紹介したい本はそんな想像をかき立ててくれる本です。

The Mitten』作:ウクライナ民話 絵:ジャン・ブレット
出版社:Putnam Publishing Group

てぶくろ』作:ウクライナ民話 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ 
      訳:内田 莉莎子  出版社:福音館書店

このお話のあらすじは人間が手袋を落としてしまい、それを見つけた動物達が手袋の中に入って温まります。最初は小動物だったのですが、どんどん大きい動物も仲間に入って、手袋の中はぎゅうぎゅうです。そんな時・・・。

民話なので大体のストーリーは同じですが、出版社によって内容や出てくる動物などが違います。今回は面白いことに、国によって人気のある本が違うので、それぞれ紹介しますね。

まず、カナダ🇨🇦では(おそらくアメリカも)『The Mitten』といえばこの本です。ニッキー🧒🏼という男の子がおばあちゃん👵🏻に雪みたいな真っ白な手袋を編んで!とお願いするところから始まります。おばあちゃんは白は雪の上だと失くしてしまうのではと忠告しますが、編んであげます。そしておばあちゃんの忠告も虚しく早速手袋を落としてしまうニッキー・・・。

森に落ちている手袋を見つけた動物達は中に入って温まります。それがどんどん大きい動物達も入ってきてぎゅうぎゅう!おばあちゃんの編んでくれた毛糸の手袋が伸びて大きくなる感じがとても面白いです。オチは、最後に手袋に入ったネズミが場所を見つけられずにクマの鼻の上に登ります。鼻がくすぐったいクマがくしゃみをして動物が四方八方に飛び広がり、その拍子で手袋も空高く飛び、青い空に舞った白い手袋を見てニッキーは手袋を見つけることが出来ました。

一方で日本で人気あるのは福音館書店から出ている本です。森の中に手袋を落としてしまったのは犬を連れたおじいさん👴🏼。そこへ食いしん坊ネズミからおしゃれキツネまで、まるで人間のような動物達は集まって住み始めます。ハシゴや窓、煙突まで手袋につけて、見た目は素敵なおうちです。オチは、手袋を落としたことに気付いたおじいさんが手袋を探しに森に戻ります。するとおじいさんの犬が先に手袋を見つけて、むくむく動く手袋に向かって吠えると、それに驚いた動物達が一目散に逃げていくという話です。

どちらも本も、クマのくしゃみ犬の吠えたてる声で物語はスッと消えるように終わります。終わりのあっけなさとは対照的に、手袋の中に小さい動物から、大きい動物が順々に入っていく様子はとても丁寧に書かれています。「もう、無理。入らないよ〜!」って子ども達も笑ってつっこむほどですが、あら不思議、どんどんと手袋に収まっていきます。その感じがとても面白いし、子ども達が惹きつけられるのでしょうね。

国によって、人気のある絵本が違うというのは、翻訳の力だったり、絵の力だったりするのでしょう。やっぱり思うのは本家、ウクライナではどんな表現、どの絵の絵本が人気なのでしょう?

前回の絵本の紹介は、ロシア民話🇷🇺の『おおきなかぶ』でした。今回はその流れでウクライナ民話🇺🇦の『てぶくろ』を紹介しました。ロシアとウクライナ問題はなかなか収束しません。きっとこの戦争が終わっても、またどこかで戦争が始まるような世界情勢。

温かい食べ物を、温かい寝床を。お父さんとお母さんの側で静かに温かく過ごせる日々を。そんな日常を子ども達からは絶対奪いたくはないですね。

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